シンスプリントとは?
シンスプリントと言われて聞きなれない言葉と思う人も多いと思います。このシンスプ
リントとは中学生や高校生などの思春期に起こりやすい障害であり、膝下(ふくらは
ぎ)にある骨(脛骨)の内側が痛くなる障害です。特に脛骨の下1/3ぐらいに痛みが発
生する可能性が高いです。
このシンスプリントの特徴としては、骨折などの時のような激痛と言う感覚ではなく、鈍
痛や重だるさなどの感覚になります。日本名はこのシンスプリントを脛骨過労性骨膜
炎と言います。この障害は、ランニングやサッカー、バスケットなど走ったりジャンプし
たりする競技のアスリートに多いと言われていますが、基本的に体を動かすどの競技
にも起こる可能性がありますが、運動量が体の負荷に耐えられなくなったり、負荷に
耐える事がなきない筋力や筋量である事がシンスプリント発症の原因になります。
シンスプリントの痛みの特徴
シンスプリントは他の多くの障害に比べて、症状初期の段階で決定的に異なる事があ
ります。それは他の障害においては、運動をしている時だけでなく、日常生活行動時
にも、多少の痛みや違和感などを少なからず感じるものです。
ただし、シンスプリントにおいては、激しい脛の周辺に違和感や軽い痛みを感じる時
は、運動をしている時(特に激しい動きをする時)に限定されます。
ですので、初めてシンスプリントを経験する人であれば、ほとんどの人は「何か変な
感じがするけれど、大したことない」と判断してしまいます。そして、そのまま放置をし
てしまい段々軽い違和感から、チクチクとした痛みに変わっていき、そのうちに激痛を
伴うようになると、シンスプリントと判断し、病院や接骨院、整体院などに通院する人
が増えます。このシンスプリントは、以前から偏見を持たれている障害の一つでもあり
ます。それは「シンスプリント=初心者病」と考えている指導者も多いのです。
この初心者病と言うのは、競技の初心者で体力がないから、脛の痛みが出る。
ですので、これは休むより無理してでもスポーツを続ければそのうち痛みも引くと言う
考え方です。
シンスプリントは医学的に見て、気持ちや根性で何とかなるものではなく、痛みの根源
は脛骨を覆っている骨膜が様々な要因で炎症を起こしてしまう事であるので、しっかり
と処置をしなければなりません。
シンスプリントが発症する原因とは?
シンスプリントの痛みに悩んでいるジュニアアスリートは多いと思いますが、原因を1
つに絞り込むことはかなり難しく、様々な複合的な要因が重なって起こります。
代表的な物だと以下の物になります。
①過度な筋肉への負担
思春期のジュニアアスリートは、筋肉が未発達な状態にあります。成長期を迎えて、
骨の伸びがあるにも関わらず、筋肉がまだ発達しておらず、運動量と強度が強い運
動を日常的に繰り返す事で、シンスプリントになってしまう事があります。では、どのぐ
らいの運動が過度な運動か言われると、それは個人個人の成長スピードによって異
なります。
ですので、スポーツ指導者や保護者の方は、痛みが出始めたと思ったら、できるだけ
早めに対処しましょう。
②柔軟性の低下
下半身の柔軟性が低下すると、骨に対する刺激が増えてしまうので、その分痛みが
出てしまう可能性があります。
特に足首の柔軟性が低下すると、シンスプリントの可能性が高まります。
③コンクリートの上を走る
学校の部活などで、外周などコンクリートの上をランニングする事があります。コンク
リートの上を走ると言うのは、土のグランドを走る事に比べて、何倍も脛骨に対する衝
撃が大きくなり、その衝撃が炎症を引き起こします。
④悪いランニングフォーム
これは、シンスプリントの原因と言うより、悪化する原因と言っても良いかもしれませ
ん。シンスプリントの初期症状は、痛いと言うより違和感や重だるい感覚になる事が
あり、スポーツができてしまうので継続してしまう可能性があります。その中で、体が
痛みの部分をかばいランニングフォームやジャンプの動作に崩れが生じてしまい、悪
いランニングフォームやジャンプ動作になってしまいます。その影響で、脛骨に負担が
加わり、シンスプリントを悪化させる要因になります。
⑤足に合っていないシューズ
意外と見落とされがちなのが、靴の問題です。靴を選ぶときに、流行っているとか、格
好が良いからと選びがちです。
ただし、「靴は足を選ぶと」言われており、自分の足に合わない靴を履いてスポーツを
すると、シンスプリントはもちろん、膝の靭帯を痛めたり、股関節を痛める原因にもなり
ます。
⑥O脚X脚
脚の形でO脚やX脚が気になる人も多いと思いますが、実はこのO脚やX脚の人は、
シンスプリントになりやすいのです。
根本的に、O脚やX脚を矯正するには短期間では難しいため、O脚やX脚のアスリート
の方は、膝や足の怪我に注意する必要があります。
このようないくつもある原因が、複合して起こる障害が、シンスプリントであり、原因を
特定する事よりも、早期に発見して処置を始める事が大切です。
シンスプリントの治療法
シンスプリントの治療を行う場合は、セルフケア(自分自身で行うケア)と私たちが行
施術の両方が合わさった時に最短で痛みが引きます。
具体的にセルフケアとしては
①練習後のアイシング
②コンクリートでのランニングやジャンプ動作は避ける
③足に合ったシューズに交換する
※どんなシューズにしたら良いかは、治療院の先生などにアドバイスをもらう方が良いです。
④足首や膝などのストレッチ
以上のような事を一つでも行うと、改善が見込めます。
当院で行うシンスプリントに対する施術としては
①足の裏やふくらはぎを中心とした筋肉をほぐす手技
②テーピングによる可動域の制限
③筋力強化のためにリハビリや筋力トレーニング
④マイクロ波などによる物理療法
など色々な方法により、シンスプリントの改善法を行います。先ほどもお話ししました
が、原因は一つでない事が多く、複合的な要因になるため、改善のための方法も
色々試しながら、その人の状態にマッチした方法を探していきます。
最近の傾向では、学校の部活動の時間短縮などの流れを受けて、シンスプリントにな
るジュニアアスリートの数は減少傾向にあると思います。ただし、小さな頃から本格的
に競技に取り組むジュニアアスリートが増えているため、スポーツ指導者や保護者
の方々は、ぜひ痛みやフォームの崩れなどを注意深く観察してください。