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肩関節腱板損傷(断裂)

腱板損傷及び断裂の発症原因

投球障害と言われる怪我の種類はいくつもありますが、この肩関節腱板損傷および腱板断裂も代表的なけがになります。腱板損傷および腱板断裂とは、肩のインナーマッスルと呼ばれる4種類の筋肉(回旋筋腱板)の腱が傷ついたり断裂したりする状態です。

 

スジが損傷?断裂?してしまうなんて、かなり重症なのではないかとイメージするかもしれません。しかし、肩こりが急にひどくなった気がした、肩が思うように挙がらなくなったから、四十肩・五十肩になってしまったのかな?と思っていたら、実は腱板断裂だったなんていう人が非常に多いのです。ですので、医療の世界では医者の先生が、日々診療していて日常的に診る怪我(このような怪我をcommon diseaseと呼びます)なのです。ですので、野球に限らず、投球動作を行うスポーツであるソフトボールやハンドボール、テニスやバレーボールなどにもよく見られる怪我になります。

腱板って何?

腱板損傷や断裂と聞いてもイメージができない人も多いと思います。まずは、腱板とはどんななのかを理解する必要があります。腱板の「腱」とは筋肉の先端に付いている組織であり、画像でみると、白くなっている部分になります。筋肉は色で例えると赤い部分であり、筋肉は伸びたり縮んだりして、力を発揮する機能があります。腱は力を発揮する機能と言うよりは骨に近い場所で筋肉が伸びたり縮んだりする力を骨に効率よく伝達し役割があります。そのためある程度、強度が必要になり硬い線維上になっています。

そしてこの腱板は、この腱が集まって板状になっているので、腱板と呼んでいます。

肩の腱板は4種類あり、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋を合わせて肩のインナーマッスル(回旋筋腱板)よく肩のインナーマッスルを鍛えなさいという言葉を聞いた事がありかもしれません。よく体の外側にある筋肉がアウターマッスルで、表面に見えない場所にある筋肉がインナーマッスルであると考える人も多いと思います。定義としては個人個人の考え方があるので、何が正しく何が間違っていると言う事はありません。私が考えるインナーマッスルとアウターマッスルの定義は

 

アウターマッスル:強い筋力を発揮し、関節を動かす事を優先とする

インナーマッスル:関節運動をよりも関節内の動揺性を低くし、安定させるための機能を最優先させる

 

このような考え方を持っています。ですので、アウターマッスルばかりトレーニングをして肥大させると、発揮する筋力は強くなりますが、関節にとって非常に負担になりやすく、肩の関節がより不安定になりやすくなります。

 

これは、理論上そう言われており、とにかくインナーマッスルのトレーニングを行わなければならないと言う人も多くいます。ですが、肩のトレーニングにおいて、インナーマッスルのみを使用するトレーニングもありませんし、アウターマッスルのみを使用するトレーニングもないと考えています。

ですので、肩のトレーニングを総合的に鍛える事に重点を置き、あまりインナーマッスルだからとかアウターマッスルだから、と言うような考え方を持たない方が良いと思います。

腱板損傷の障害評価

当院にお越しになるお客様で腱板損傷が疑われる場合には、腱板損傷の障害評価テストを行います。具体的には腕を持ち上げて、そこから一気に手を離したときに、上がった腕をそのままキープできるのか?キープできずにストンと落ちてしまうのか?を調べるdrop armテストや他にはインピンジメントテスト、ホーキンステスト、Neerテストなど複数の障害評価法を行うことで、どこに痛みが出て、どのような状態になっているのかを確認します。

腱板損傷治療におけるゴールとは?

腱板損傷の治療を行う上で、腱板損傷や腱板断裂だと判明した場合、次に治療を行い改善していくわけですが、すべての障害を治療するときにも共通する事でもあるのですが、何を治療のゴールと考えるのかをはっきりさせ、イメージする事です。特にアスリートの場合は、一般の人とは異なり、競技復帰し最高のパフォーマンスを出す事がゴールのであれば、しっかりとゴールをイメージして治療を開始するべきです。また、治療をお願いする先生としっかりと話し合い目指すゴールを共有して行うと、より高い効果が期待できます。

 

ですので、当院にお越しになるお客様には、可能かどうかは別にして「○○と言う状態を目指したい」とお伝えいただく事が大切だと思っています。

 

当院が考える腱板損傷および腱板断裂の治療工程だと

 

  1. 肩の痛みが強い⇒徐々に痛みが引く⇒完全に痛みが消える
  2. 肩が上がらない⇒痛みがあるけど上がるようになる⇒痛みがなく自然に上がる
  3. 腕を捻る事ができない⇒ゆっくりとなら捻る事ができる⇒自然に捻る事ができる
  4. 肩に力が入らない⇒一瞬なら入るがすぐに入らなくなる⇒全力で入れる事ができる

 

このような工程をイメージしながら改善の努力を行ってもらいます。

肩関節腱板損傷(断裂)の保存療法は有効か?

よく整形外科に診察に行き、肩関節腱板損傷と診断されると、多くの確率で手術を勧められるケースが多いです。確かに、重度の症状が出ている場合においては、やはりできるだけ早い段階で手術を行い、正しいリハビリにより競技復帰ができるようにするべきだと思います。

 

ただし初期の症状である、腱板に微細な損傷が起きている場合には、すぐに手術と言う選択をするのではなく、手術をせずに回復をさせる保存療法を行う事も考えて良いと思います。

腱板損傷の場合は、保存療法は効果がかなり低く、腱板は血流が悪いので保存療法による修復は期待できないと言う人もいますが、当院では病院で腱板損傷と診断され、手術を勧められた状態でも、保存療法でしっかりと回復し、競技復帰して活躍した選手が多くいます。

ですので、初期の症状であれば、まずが保存療法による治療を行う事をお勧めします。

腱板損傷における効果的なリハビリは?

肩関節腱板損傷及び腱板断裂で保存療法を選択し、回復させようとする場合、唯一の回復方法は自然治癒力を高め、修復させるしかありません。ですので、自然治癒能力を高める事に必要なのは「血流量を高める」です。

ですので、まず腱板に負担をかける事はできるだけ避け、患部を安静にさせる必要があります。ただ、肩関節周辺の血流量を増加させるために、肩甲骨の動きをよくするリハビリはしっかりっと行う事が大切です。また、腕の筋肉である上腕二頭筋や上腕三頭筋、また背中の筋肉である菱形筋や広背筋なども適切な刺激を与えて、筋力強化をすることで、肩の安定性強化に役立ちます。

腱板損傷にテーピングは有効か?

腱板損傷と診断されたので、テーピング固定をしてもらえませんか?と聞かれることもあります。確かにテーピングで肩関節を固定する事は、損傷した腱板への負担を少なくしたり、適切な可動域制限を行うため、肩を動かしても痛みが少なくなった感じがする効果はあります。

ですので、腱板損傷の時にテーピングをする事は、間違いではありませんし、効果的に使用する事は大切です。ただし、テーピングをしても腱板断裂部がくっつくことは期待できません。

それを踏まえて、日常的にテーピングを使用する事は避け、リハビリや競技復帰に向けて本格的なトレーニングを開始するときに、使用すると良いと思います。

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